羊毛などの断熱材について
羊毛など自然材料の断熱材の性能は、グラスウールやロックウールよりも劣るように思われていますが、そんなことはありません。「熱伝導率W/(mk)」を目安にすると、岩綿保温板(ロックウール)が 0.038 、ガラス繊維保温板(グラスウール)が 0.041 〜 0,051 です。それに対し、羊毛は 約0.040 、炭化コルクは 約0.045、亜麻が 約0.050 です。その数値が低いほど、断熱性能が高いので、自然材料の断熱性能が劣ることはありません。
現在流通している、自然材料を使った断熱材の代表的な原料は、羊毛、炭化コルク、亜麻繊維、木質繊維などです。
羊毛断熱材は、文字通り羊の毛が原料で、商品によって、ウール100%のもの、ウールにポリエステル繊維や麻を混ぜ合わせたもの、スーツ地などのリサイクルウールを使ったものがあります。
炭化コルクは、コルクが高温の熱で粘結する性質を利用して、コルク粒を400度近くの高温で、圧力をかけながら蒸焼きにしたものです。接着剤は添加せず、コルクの中に含まれる樹脂だけで固めています。断熱材のほか、吸音材、吸振材としても使えます。
亜麻繊維の断熱材は、麻の一種で、亜麻油をとった後に残る、亜麻草の草茎の繊維が原料です。加工方法は、茎を乾燥させた後、フリース状の長い繊維にし、さらにフェルト加工したものを、じゃがいものでんぷんのり(ポテトスターチ)で固めたものです。
木質繊維は、杉の樹皮とバージンパルプをコーンスターチで固めてボード状のしたものがあります。ほかに、杉、檜、松の間伐材にセラミック粉末を混ぜて、接着剤代わりにセメントを混ぜているものもあります。